インフルエンザ検査最前線

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インフルエンザ検査最前線

みなさん こんにちは!
臨床検査技師になって2年、橋本総合病院に勤務しています 丈太郎です。
え?名前が古いって?!
名前の秘密は、「BJの命の恩人」で調べてみてくださいね〜

 

 

さて、ところで、冬のシーズンに日本人の5〜10%が罹るともいわれているインフルエンザ…
治療の原則はなんといっても「早期診断・早期治療」といわれております。

 

その訳は…

 

インフルエンザウイルスは、一個が24時間後には100万個にまで増殖する非常に増殖速度が速いウイルスだからです。
そのため、できるだけ早い段階でインフルエンザに感染していることを見極められれば、ウイルスの増殖が少ないうちに抗インフルエンザ薬を服用することができるため、当然、回復も早くなる… ということなのです。

 

今回は、インフルエンザの早期診断に今や欠かせなくなっているインフルエンザ検査、特に最新のインフルエンザ検査法についてみなさんご一緒に勉強していきましょう!

 

インフルエンザ検査法のトレンド「迅速診断キット」

現在、日本ではインフルエンザの診断に、「迅速診断キット」が広く使われています。
2009年にパンデミック(世界的大流行)が発生した際は、インフルエンザによる日本国内の死者数は世界の中でも著しく少なかったようです。
その理由は…

 

  • 日本で迅速診断キットが普及していたため早期に正確な診断ができた
  • 抗インフルエンザ薬による早期の治療が行われた

 

などが考えられるようです。




 

今後もこの迅速診断キットがインフルエンザ診断に果たす役割は非常に大きいと言えるかもしれませんね。

 

迅速診断キットにもウィークポイントが…

 

そんな迅速診断キットですが、今やインフルエンザの診断にはなくてはならない存在″と言っても過言ではないでしょう。

 

しかしこの迅速診断キットにも、いくつかのウィークポイントがあるのも事実です。

 

迅速診断キットは他のインフルエンザ検査法と違い、ウイルスが一定量以上存在しないと検出できないのです。
これは、インフルエンザウイルスが人体に入ると急速に増殖を始めますが、およそ12時間(検査キットメーカーによってはおよそ7時間)経過しないと、迅速診断キットで検出できるウイルス量に達しない… ということなのです。

 

また、陰性か陽性かの判断を人の目視によって行うため、測定者によって違う判定が出る可能性(誤差)もあり得るのです。

 

・発症後12時間以上経過しないと正確に診断できないことがある

 

・測定者によって判定に誤差が生じる可能性がある

 

そして、最近ではこれら迅速診断キットのウィークポイントをカバーするような新たな検査法がいくつか登場しているようです。

 

さあ、最新の検査法について一緒に勉強していきましょう!

 

富士ドライケム「IMMUNO AG1」

 

はじめに…

 

写真フィルムでおなじみの富士フィルム社から発売されている「富士ドライケム IMMUNO(イムノ) AG1」という検査法です。

 

なにやら、幅180o、奥行き200oほどの卓上型装置と検査キットを使用するのだとか…

 

この方法は、従来の迅速キットの測定原理に加え、「銀イオン」を使用することにより、インフルエンザウイルスを100倍の大きさにすることで見え易くし、従来の迅速キットよりも検出感度を約10%も向上させることができたという検査法です。

 

さすがフィルムメーカー!
フィルム現像の技術を応用し銀イオンを使うとは!

 

ウイルス量が多く存在し、10分以内に陽性と判定できた場合には銀イオンを使うことなく検査が終了します。

 

ここまでは従来の検査法と同じですが、ここからが違います…

 

ウイルス量が少なく、10分以内に陽性反応が出なかった場合、なんと自動的に「高感度モード」に切り替わるのです!

 

そして、インフルエンザウイルスに大量の銀イオンを付着させ…

 

数十秒後…  

 

インフルエンザウイルスが100倍まで膨れ上がり…

 

従来の迅速診断キットでは検出が難しかった、発症から12時間以内でも検出が可能となったのでした!!
100倍まで大きくなったおかげで少量でも見つけやすくなり、また、最速では発症後2〜3時間でも検出できる可能性が高まったというのです!!

 

そして、迅速診断キットと違い、判定もすべて装置が行うため、測定者による判定の誤差の心配もなくなったのです。

 

まさに革新的な検査法ですね!

 

・インフルエンザウイルスが微量な場合でも検出しやすい

 

・測定者による判定誤差がない

 

SGNPを用いたインフルエンザの超高感度検出法

 

そして次は、スディックスバイオテック社が開発した、SGNP(糖鎖固定化金ナノ粒子)???といわれる、なにやら難しい物質を使った検査法です。

 

インフルエンザウイルスは人の細胞に感染する前に、まず、細胞表面に着いた「糖鎖」といわれる分子に吸着する性質があるのだそうです…

 

この性質を利用し、この会社ではウイルスが吸着する「糖鎖」を人工的に造りだし、
更に、とっても大きな「金のナノ粒子」というものをくっつけた「SGNP」という物質を作り出しました。

 

インフルエンザウイルスが存在した場合、この大きなSGNPにくっつけてある糖鎖がウイルス表面に吸着することで、重みを増したウイルスは下の方に沈んで行ってしまうのだとか…

 

この沈んでいったウイルスだけを集めることで、超微量なインフルエンザウイルスしか存在しない場合でも検出することができる… というのがこの方法の特徴です。

 

しかしこの方法がすごいのはここからです…

 

なんと、インフルエンザに感染してから症状が出るまでの「潜伏期間中(インフルエンザの場合1〜3日間)」の方をも見つけ出すことができてしまうのです!!

 

これによりどういう効果が期待できるかと言いますと…

 

発症する前に抗インフルエンザ薬の治療を開始できてしまうのです!!

 

つまり…  

 

あのつらいインフルエンザの症状がでないまま完治してしまう!!

 

ということなのです

 

なんとも画期的な方法ですよね〜

 

ま と め

 

みなさん、最新のインフルエンザ検査についていかがでしたか?
どんどん進化をとげているインフルエンザ検査法… 

 

現在の「迅速キット」の場合ですと、家族が罹ったからといって、本人に症状が全く出ていない段階での「インフルエンザ検査」は、保険請求上通らない可能性が大きく、たいてい自費で検査をすることになるでしょう。
なので、ここでご紹介したSGNP法に関しても、現時点では、全く症状が出ていない段階の方にこの検査を行っても、恐らく、同じように保険請求上通らない可能性が大きいと思われるので、「迅速キット」にとって代わる検査法になるかどうかは、今のところ僕にもわかりません。

 

また、タミフルなどの抗インフルエンザ薬に関しても、家族が罹ったから心配なので服用したい(いわゆる予防投与)といっても、保険を使った処方箋は現在のところ、出してもらえません。

 

今後、このSGNP法が普及してきて、『潜伏期間中にインフルエンザが発見できる』ことの社会的信用を得られれば、この方法を使ったインフルエンザ検査がかなり増えてくるでしょう。
そして、発症する前の潜伏期間中に検査を行っても保険適用となり、抗インフルエンザ薬の処方も保険適用になる日が来るのかもしれませんね。